『シェイクスピアしましょ』公演が終わって2週間近く経った。この公演で「芝居の神様」の存在を、実感を持って信じずにはいられない出来事があった。
小屋入り前日の稽古で声が出なくなった。全く出ないわけではないのだが、ひどく擦れてひっくり返ったような声だ。今までに経験した喉の酷使による荒れではないようで、共演者によると炎症を起こしているらしい。
小屋入り初日の仕込み日は喉は休ませられる。その間にできるかぎりのケアをした。うがいをマメにし、喉を冷やさぬよう外ではマフラー中ではタオルを首に巻き、蜂蜜レモン生姜湯を飲み、咽頭にシュッと薬を吹きかけた。
二日目の場当たりは、だいぶ出るようになったが、セーブしながらしのいだ。
三日目、ゲネプロ、本番。抑え気味ではあるがほぼ全開。劇場の響きがひどく悪いので抑えてもいられないのだ。この日が終わった時点で奇跡を実感した。すっかり喉が戻っている。神様のおかげとしか思えなかった。
そして、中日、楽日と嗄らすことなく乗り切った。むしろ喉の調子は上がっていったように思う。
神様に感謝。こうやって手を貸して下さるということは芝居を続けろっていうことなのかな。
☆神様に捧げる歌
“芝居の神様” なんて素晴らしい存在だ
俺のような下手クソさえも見捨てなかった
何度も失望したけれど、結局戻って俺はいる
大事なものを見失いかけた だけど今、はっきり見える
舞台への畏れを教えてくれた神様
そして恐れるなと励ましてくれたのも神様
なんて素晴らしいんだろう
信じることを覚えたその時に見えた光は
芝居に手を染めてから、多くのヤバい事、苦労、誘惑があった
そいつを通り抜けて俺はここにいる
ここまで俺を引っ張ってくれたのは“芝居の神様”
そして神様は俺を最高の舞台へと導いてくれるだろう
[英訳]
Amazing Grace! How sweet the sound
That saved a wretch like me!
I once was lost, but now am found;
Was blind, but now I see.
'Twas grace that taught my heart to fear,
And Grace my fears relieved;
How precious did that grace appear,
The hour I first believed.
Through many dangers, toils and snares,
I have already come;
'Tis grace hath brought me safe thus far,
And grace will lead me home.