僕はインターネットで随分と名前を晒して活動しているが、エゴサーチということもたまにする。とは言っても僕のことを話題にする人などほとんどいないので「世間は私のことをどう思っているのか」ということを調べるわけではない。自分が発した情報や関係した情報が、検索でどう順位付けられているかが気になるのである。言ってみれば「Googleさんは私の情報をどう思っているのか」を調べているわけだ。
エゴサーチする中で最近「おや」と思ったのが、"note"に投稿した「"The Voice Ukraine"のエロい審査員」という記事が上位に上がっていたこと。世の人々はエロい話を求めているということだろうか。
その"The Voice"。これは歌のオーディション番組で、僕はYouTubeで動画をたくさん観ている。例の記事はそうして観ている中で気になる審査員がいたという話だったのだが、この記事のテーマは審査員ではない。その番組に出るヴォーカリストが皆素晴らしいのである。海外にはこんなに素晴らしいヴォーカリストがいるんだとたいへん感動した。オーディションだからアマチュアなのだが(セミプロや元プロも結構いるらしいが)、アマチュアなのにこんなに凄い人たちがいるのかと。
では日本ではどうなのかと考えると、やはりレベルが全然違うと感じるのである。そもそも歌に対する国民の意識や評価基準が違うのかなと思う。"The Voice"の国々では上手くて当たり前、エネルギーが高くて当たり前。それプラスいかに魅力的な声を持っているか、表現力を持っているか、そういうレベルで聴いているのではないか。それは欧米だけではない。このフォーマットの番組は非常に多くの国で放送され途上国と呼ばれる国でも放送されているが、日本だけが番組がない。そして日本だけが歌のレベルで外れている。日本だけが評価基準が違う。そう感じるのである。
日本ではエネルギーの低いヘナチョコな歌がもて囃されていると僕は思う。そして、それではイカンと思っている。パワーやエネルギーがあればいいというわけでもなく、楽器と同じレベルで心地よい声を追求した作品があればいいのだけれど、それも出来ていない。
やはり日本人の音の感覚が違うなという気がしている。昔からよく言われていることで、虫などの自然の音が日本人には言葉に聞こえるというのがある。まさにそこなのかもしれない。ヴォーカルの声も楽音ではなく言語音としか聞こえていないのではないか。そうだとしたらどうしようもない話である。
とは言え日本人全てがそうではなく、古い例では山下達郎とか大瀧詠一とかは欧米人に近い耳を持っていたように思う。だが、そういう人は日本人では少数なのではないか。今の状況では日本のポピュラー界はヤバいぞと、そう思うのである。が、僕が言ってもしようがないので業界の人に任せるしかない。
しかし、胸や腹や腰に響く歌を、魂を揺さぶる日本人の歌を聴きたい。そう思うのである。