僕にとっていちばん美味しいカレーは自分の作るカレーである。そこらのチェーン店のカレーよりも美味しいと思っている。とは言っても、市販の安いルーを使った普通のカレーなんだが、大事なのはそこに行き着いた過程である。
最初はとにかく凝った。肉はビーフだろうとか、長時間煮込むほどいいとか思っていたが、そんなことは無かった。他にはスパイスを色々と加えたり、トマトやセロリで旨みや香りを出そうとしたり。ついにはルーを使わずにスパイスを調合しようと思い、クミン、コリアンダー、ナツメグ、オレガノ、シナモン、チリペッパーなどをブレンドして作った。それはそれでわりと上手くいったのだが、旨みが足りずに結局コンソメを加えたり。
ある時、面倒臭くなって、普通の市販のルーでいいんじゃないかと思い、手間をかけずに作ったら、それが美味しかった。それ以来、そのシンプルなカレーでやっている。
特徴として、肉はチキン、野菜は玉ねぎとピーマンのみ。ピーマンは単に好きだからというのもあるが、その青臭さがスパイスの香ばしさと合うんじゃないかというのもある。ジャガイモは入れない。煮崩れると味にキレがなくなるような気がするから。
他には、赤ワインをドボドボと入れる。ワインを入れてジャガイモを使わないとなると最早普通のカレーとは言えないような気もするが。
美味しいカレーを作れると女のコにモテるんだな。「カレーのおじさま」なんてね……。