世田谷シルク公演『泣けば心がなごむけど、 あなたの前では泣けません』、6月6日に千秋楽を迎え、無事全日程終了しました。ご来場下さった皆さま、本当にありがとうございました。以下、自己完結の感想です。
---
公演の出来をどう評価していいのか分からないが、絶賛とは行かないまでも概ね好評といったところか。お客様のご意見と私の主観とを総合すると「楽しめる要素は盛り沢山。物語はなんとか流れていた。結末は好みが分れる。完成度は高いとは言えない」という感じだろうか。
ぼく個人はやり切った感はある。もちろん、もっとやれたと思う部分はたくさんあるが、現実的にはこのあたりがやれる範囲だと思った。いつもは稽古不足を悔やむのだけれど、今回は実力不足、経験不足、根本的な魅力不足に悩むことが多かった。自分の出来については客観的に見てどうだったのかは判断できない。きっといつものようにビデオを見てうんざりするのだろう。
公演期間中はお客様の評価は気にしないように心掛けた。それでも気になってネットで感想を探したりした。そんな中で、役者の中で僕が一番良かったという書き込みを見つけたのは公演終了後。それまで良い悪いによらずぼくの名前をまったく耳にしなかったので「えっ? どういうこと?」と腑に落ちないまま喜ぶタイミングを逃してしまった。もちろん嬉しくない訳はないが、600人程のお客様の内の一票を頂いたに過ぎないし、それだけいれば一人ぐらい好みに合う人がいてもおかしくはない。浮かれずに精進していかなければいけないと思っている。
いちばん気になったのはやはり身体のこと。激しい癖を取るために、どんな舞台に立っても恥ずかしくない身体を作り上げるために、10年かけて矯正してだいぶまともになったつもりだった。しかし出るんだね。癖が遠慮なく飛び出す。ぜんぜん甘かった訳だ。本気で治さないと。これからは、日常のどんな瞬間でも完璧な姿勢でいるようにするよ。
小劇場の森の中に迷い込んだおじさん役者が色々な出来事に巻き込まれて成長する物語。森から出て来たおじさんは、はたしてどれくらい成長したのだろう。
---
最後に。
センス溢れる演出と内面にアグレッシブさを持ちつつも和やかな口調で的確な指示をしてくれたボスの堀川炎さん、稽古も楽屋も舞台上も一緒にいるのが楽しい素敵な役者たち、才能溢れる芸術・技術スタッフおよび表方スタッフの皆様、そして客席から熱い視線を送って下さったお客様。すべてがかみ合って出来上った舞台。ほんとうに楽しかった。ありがとうございました。